お知らせ

今回は産業保健スタッフについて考えてみましょう

「こうちさんぽメールマガジン」2009.7月号より

産業医学担当相談員 菅沼 成文

産業保健の現場で中心的な役割を担うのは、産業保健スタッフです。その中でも労働安全衛生法の裏付けのある資格は、産業医と衛生管理者です。中規模以上の事業場で見かける産業看護職(産業看護師と産業保健師をまとめてこう呼びます)は法的な裏づけがありません。実は、この衛生管理者、欧米の産業看護職を想定して作られた資格なのです。

衛生管理者のテキストをみると産業保健に関するかなり詳しい内容が盛り込まれています。網羅的に勉強していれば、産業保健の基本はすべてわかるでしょう。勿論、医学的な知識がある人のほうが理解はたやすく、保健師資格があれば、試験を受けずに衛生管理者資格を取得可能ですが、法体系についての説明や職場に特有の有害要因に関する説明が盛り込まれているので、勉強をしておくことは実務の遂行にプラスになるはずです。

ベテランの産業看護職は、労働安全衛生法の体系をよく理解して、職場の有害要因を管理するすべを知っているのですが、新入りの産業看護職の中には、健康管理、それも生活習慣病の管理だけが自分の仕事だと思っている人がたまにいます。産業保健の3管理である作業環境管理、作業管理、健康管理のすべてにわたって総合的な管理を行うことができるのが、産業看護職の専門性なので、衛生管理者資格を取っていない産業看護職がもしいるなら、資格取得をお勧めします。中小規模の事業場では、嘱託産業医というパートタイムの産業医のみなのですから、産業看護職はある程度の部分は産業医の代役を務めるぐらいの意識が必要です。生活習慣病のみならず有害業務、安全配慮義務などについての労働衛生教育と、上司との折衝や労働安全衛生計画立案を含めた総括管理までしっかりできるようになれば、エキスパート産業看護職とでも呼びたいところです。

一方、一般職の方で衛生管理者になっている方でも、専任で衛生管理の担当をしているというケースは極稀です。しかも、規模の小さな事業場では、産業看護職を雇う余裕がなく、衛生管理者が産業保健の実務を担当しています。労働安全衛生法という法律に基づいて従業員の健康を守るのが産業保健のコア部分なので、法律遵守の立場からはみなさん熱心に実務を行っています。しかし、産業看護職や産業医のように同業者の集まり(これを研究会とか学会といいますが)はあまり頻繁には連絡を取ることもなく、新しい知識は会社からの指示や情報誌にとどまります。衛生管理者交流会というものが高知でもありますが、まだ十分な活動はできていないようです。会社が契約している産業医が毎月来てくれれば、産業医との意見交換の中で、この分野の動向を知ることもできるでしょうが、必ずしも産業医学が専門である産業医ばかりとは言えません。むしろ、「産業保健はこういうことが仕事ですから、是非、安全衛生委員会に出席してください、職場を巡視してください」と産業医を「教育」しないといけない場面もあり得ます。

今の日本の労働衛生施策では衛生管理者が十分に力を発揮しないと産業保健を支えることはできません。経営上のリスクの一つである従業員の安全衛生についてのプロフェッショナルとして活躍される衛生管理者が増えていくことを期待します。

ご相談・ご要望を受け付けています。

ご利用時間:午前8時30分~午後5時15分(土・日曜日・祝祭日、年末年始除く)

PAGE TOP