お知らせ

食中毒に注意して下さい!

産業保健情報誌「よさこい」2004.5月号より

高知県衛生研究所

夏季には細菌を原因とした食中毒が多く、冬季にはウイルスを原因とする食中毒が増えてきます。
食中毒には、細菌性、ウイルス性、自然毒があります。

細菌性食中毒

腸炎ビブリオ、サルモネラ、病原大腸菌、ブドウ球菌などの細菌で汚染された食品をたべることにより、数時間後から数日後、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などを主症状とする急性胃腸炎を起こす食中毒です。

ウイルス性食中毒

ノロウイルス(小型球形ウイルス)、ロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルスで汚染された食品を食べることにより、数日後、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの急性胃腸炎症状を起こす食中毒です。

自然毒

有毒キノコなどの有毒植物や有毒フグなどの有毒魚に含まれている毒物により、嘔吐、めまい、麻痺、けいれん、意識障害などの神経症状を起こし、重症では死亡することもある食中毒です。
食中毒の防止にはまず食中毒をよく知ることが大事です。ここでは細菌性食中毒、ウイルス性食中毒の発生状況や予防方法等について紹介したいと思います。

食中毒の発生状況

平成14年全国月別食中毒発生状況  平成14年の全国月別食中毒発生状況並びに病因別発生状況を図に示しました。全国で発生した食中毒事件総数は1,848件、患者数は27,412名であり、この内、1事件あたりの患者数が500人を超えた大規模食中毒は6事件でした。事件数を病因物質別にみると、細菌性食中毒は全体の74.5%を占め、サルモネラ、カンピロバクタ-、腸炎ビブリオの順でした。細菌性食中毒の死者は11名で、その内9名は、平成14年8月に老人福祉施設で発生した腸管出血性大腸菌O-157食中毒によるもので、1事件あたり死者数は過去最大となりました。

平成14年全国病因別食中毒発生状況  ノロウイルスによる食中毒は、事件数はサルモネラ、カンピロバクタ-に続く位置でありましたが、患者数では7,746名(28.3%)と最多で、近年急増しています。また、自然毒による食中毒は全体の6.8%でトリカブトの誤食による死者1名、フグが原因による死者6名が報告されています。

平成15年の高知県における食中毒事件発生は3件で患者数は40名であり、原因物質はサルモネラ2件、キノコが1件でした。

細菌性食中毒の予防

食中毒菌を1.付けない 2.増やさない 3.殺すの食中毒3原則を守れば細菌性食中毒は予防することができます。正しい知識であなたのまわりの大切なヒトを守りましょう。

細菌を付けない(清潔、洗浄)

食中毒を起こす細菌は、魚や肉、野菜などの食材に付いている場合が多く、この細菌が手指や調理器具などを介して他の食品を汚染し、食中毒を起こすこともあります。洗える食材は全て流水でよく洗いましょう。魚、肉を扱うときは手、まな板、包丁など調理器具は食材が変わる毎にこまめに洗いましょう。食後は食器をすぐ洗い、三角コ-ナ-なども毎日洗いましょう。

細菌を増やさない(迅速、冷却)

食品に食中毒菌が付いても、食中毒を起こすまでの菌量に増えなければ、食中毒にはなりません。食品に付いた菌は時間の経過とともに増えるので、買い物に時間をかけず、調理は迅速に、調理後は早く食べることが大切です。食品は冷蔵庫に保存することは勿論ですが、菌は冷蔵庫では死なないし、低温で増殖できる菌もいますので、長期保存はやめましょう。

細菌を殺す(加熱、殺菌)

一般的に食中毒を起こす菌は熱に弱く、食品に細菌がついていても加熱すれば死んでしまいます。加熱はもっとも効果的な殺菌方法ですが、加熱が不十分であれば食中毒菌が生き残りますので注意が必要です。作り置きのものは、必ず冷蔵・冷凍保存し、食べるときには十分に加熱しましょう。また、調理器具は洗浄した後、熱湯や塩素剤などで消毒する必要があります。

ウイルス性食中毒の予防

ノロウイルス等ウイルス性食中毒の原因として考えられるウイルスはいずれも腸管系に感染して増殖するウイルスであり、糞口感染により伝播します。食品や水が糞便で汚染されると集団発生が起こります。細菌と異なりウイルスの場合、感染したヒトの体内以外、特に食品中で増えることはありませんので、食品のウイルス(糞便)汚染をなくすことが予防となります。カキは、海域によってはノロウイルスに汚染されていることがあります。
高知県衛生研究所では県内産のカキや県内量販店で流通している生食用カキについてノロウイルスの検査を行っており、汚染の情報を保健所等の食品衛生関係機関へ伝え、適切な衛生指導がなされるよう努めています。

ウイルス汚染は食品加工の際にウイルスを保有している食品調理従事者によって起こる場合もあるので、加熱調理をしない食品や刺身やサラダなどの調理時には十分な手洗いなどの注意が必要です。数個から数百個のウイルスで感染することが知られており、ウイルス保有者は食品調理を控えることが予防対策として必要ですが、充分な加熱調理が最も効果的な予防対策です。また、ウイルスが食品を介さず、患者吐物の始末やオムツ交換で汚染した後の手洗いタオルの共用等により感染することがあります。冬季にはインフルエンザと共に特に注意すべき病原体です。

食中毒にかかったときは

異常を感じたら早めに受診しましょう。食中毒は時には死に至ることもありますので軽視は禁物です。重症化する前に医療機関に行くことを心がけて下さい。下痢や嘔吐を繰り返したときは水分が不足し、脱水症状を起こし易い状態になりますので水分補給と適当な塩分、糖分を補給するようにして下さい。また、O-157やウイルス性食中毒など二次感染が危惧される場合は患者の便(処理にはゴム手袋使用、使用後は手袋の消毒)や衣類(別扱いで洗い、日光によく当て乾かす)の取り扱い、患者の入浴(混浴は避け、シャワーですませる)などに特に注意して下さい。

以上

ご相談・ご要望を受け付けています。

ご利用時間:午前8時30分~午後5時15分(土・日曜日・祝祭日、年末年始除く)

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