お知らせ

長時間労働者等への医師による面接指導制度について

産業保健情報誌「産業保健こうち」2008.9月号より

高知労働局労働基準部安全衛生課

平成17年の労働安全衛生法の改正により長時間労働者等への医師による面接指導制度が創設され、平成20年4月1日からは常時50人未満の労働者を使用する事業場においても適用になりました。
そこで、この制度が創設された背景についてご説明させていただきます。

労働時間の状況について

我が国の労働時間は、平成16年度には、1,834時間となっております。

一方で、近年の状況をみますと、平成11年度以降、おおむね横ばいで推移しています(第1図参照)。若干の低下がみられますが、これは、労働時間の短い者の割合が増加した結果によるものです。一般労働者とパートタイム労働者に分けてみますと、それぞれ、若干の増加傾向さえみられ、労働時間の長い者と短い者の割合が共に増加し、いわゆる「労働時間分布の長短二極化」が進展しています(第2図参照)。

第1図 総実労働時間の推移
年間総実労働時間の推移(パートタイム労働者を含む)

年間総実労働時間の推移(パートタイム労働者を含む)

(資料出所)厚生労働省「毎月勤労統計調査」
(注)事業所規模30人以上

就業形態別年間総実労働時間及びパートタイム労働者比率の推移

就業形態別年間総実労働時間及びパートタイム労働者比率の推移

(資料出所)厚生労働省「毎月勤労統計調査」
(注)事業所規模30人以上

第2図 労働時間分布の長短二極化
平成5年 平成17年 平成18年 平成19年
週35時間未満の者 929万人 1266万人 1205万人 1346万人
18.2% 24.0% 22.5% 24.9%
週35時間以上
週60時間未満の者
3625万人 3384万人 3553万人 3482万人
71.1% 64.1% 66.4% 64.5%
週60時間以上の者 540万人 617万人 580万人 554万人
10.6% 11.7% 10.8% 10.3%
合計 5099万人 5280万人 5353万人 5398万人
30代男性で週労働時間60時間以上の者
平成5年 平成17年 平成18年 平成19年
週60時間以上の者 153万人 199万人 188万人 176万人
20.3% 23.4% 21.7% 20.2%
  • 資料出所:総務省「労働力調査」
  • 上の表は雇用者についてのもの。ただし、「30代男性で過労働時間60時間以上の者」については、統計上の制約から、雇用者のみの数値が得られないため、下の表は雇用者だけでなく自営業主と家族従業者を含んだ就業者数により作成。

仕事や職業生活におけるストレスの状況について

第3図 仕事や職業生活におけるストレスの状況資料出所:厚生労働省「労働者健康状況調査」

仕事や職業生活におけるストレス状況

厚生労働省労働者健康状況調査(平成14年)によりますと、自分の仕事や職業生活に関して、「強い不安、悩みストレスがある」と回答した労働者は、6割に上っています(第3図参照)。

また、自分の仕事や職業生活において「強い不安、悩み、ストレスがある」と回答した労働者が挙げた具体的なストレス等の内容としては、「職場の人間関係の問題」35.1%が高く、次いで「仕事の量の問題」32.3%、「仕事の質の問題」30.4%、「会社の将来性の問題」29.1%の順となっています(第4図参照)。

第4図 ストレス等の内容資料出所:厚生労働省「労働者健康状況調査」(平成14年)

ストレス等の内容

労災請求・支給決定件数の状況について

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(「過労死」等事案)に係る平成19年度の労災請求・支給決定件数は、請求件数931件、支給決定件数392件と高い水準で推移しています(第5図参照)。

第5図 脳・心臓疾患に係る労災請求・支給決定件数の推移

脳・心臓疾患に係る労災請求・支給決定件数の推移

以上のような状況において、長時間労働による疲労が蓄積して脳・心臓疾患などの発症を予防するため、事業主は、長時間労働等を行った労働者に対して、医師による面接指導等を実施することが創設されました。

なお、制度の概要につきましては、厚生労働省WEBページをご覧ください。

以上

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