お知らせ

大災害時のストレス反応

「こうちさんぽメールマガジン」2011.4月号より

メンタルヘルス担当相談員 伊藤 高

3月11日に発生した東日本大震災の光景をニュースで見て、ショックを受けられた方も多いかと思います。大きな揺れに見舞われた後身動きせず呆然と立ち尽くし、そのまま襲ってくる津波に飲み込まれてしまった人の姿も。では、どうして大きな危険が迫っているのに、彼らは逃げなかったのでしょうか?
人生において例外的な異常な出来事、例えば今回のような重大な自然災害や事故、戦闘やテロ、誘拐や暴行、強姦、変死体の目撃、眼前での肉親との死別、自宅の火災の目撃などのストレスにさらされると、急性ストレス反応をおこしてしまうことがあります。通常はストレスの衝撃から数時間で出現し、数日までに自然に回復します。
このような状態になると、まず(1)感情の麻痺、(2)現実感の喪失、(3)周囲からの刺激が理解できない、(4)今いる場所や時間がわからなくなるなどの初期症状として、認められます。たぶん、大地震の大きな揺れに動転した人々の中には、今自分がおかれている状況を理解できず、周囲の「津波が来る!逃げろ!」という言葉にも反応できなくなっていた可能性があります。
少し時間が経つと(1)引きこもりや(2)イライラと過活動が出てきます。中にはパニック発作を起こされる方も出てきます。これらの症状を起こしていた時期のことを、少しあるいは全く覚えていないこともあると言われます。対応としては、特に引きこもっておられる方には黙って付き添ってあげること。無理に話を聞き出そうとしないことも大切です。
いつか南海大地震を迎えるかもしれない我々にとって、他人事でない心理反応なのです。

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