デジタル酸素濃度計のご紹介 【※現在この機器の貸出はしておりません】

産業保健情報誌「産業保健こうち」2008.5月号より

高知産業保健推進センター相談員
中西 淳一

一般の空気中の酸素濃度は約21%ですが、酸素濃度が18%未満の状態を酸素欠乏といいます。酸素欠乏場所での作業は、土木、建築工事をはじめとして、化学工業、食品製造業等で広く行われており、酸素欠乏症等による災害は、様々な業種において発生するおそれがあります。
労働衛生の観点から、酸素欠乏症等による労働災害を防止するため、酸素欠乏症等防止規則(昭和46年労働省令第26号)が定められており、作業主任者の選任が必要なことは皆様ご承知の通りです。
人体に酸素が欠乏した場合、最も敏感に反応を示すのは、脳の大脳皮質であり、機能低下から始まり、機能喪失、脳細胞の破壊へとつながり、非常に危険な事態となります。ちなみに、脳の酸素消費量は100リットル以上にも及び、これは全身の必要量の約4分の1に相当します。
ご参考までに、酸素濃度と酸素欠乏症の症状等との関係を表-1に示します。

表-1 酸素濃度と酸素欠乏症の症状等

酸素濃度(%) 酸素欠乏症の症状等
18 安全下限界、作業環境内の連続換気、酸素濃度測定、安全帯等、呼吸用保護具の用意が必要
16~12 脈拍・呼吸数増加、精神集中力低下、単純計算間違い、精密筋作業拙劣化、筋力低下、頭痛、耳鳴、悪心、吐気
14~9 判断力低下、発揚状態、不安定な精神状態(怒りっぽくなる)ため息頻発、異常な疲労感、酩酊状態、頭痛、耳鳴、吐気、嘔吐、当時の記憶なし、傷の痛み感じない、全身脱力、体温上昇、チアノーゼ、意識朦朧、階段・梯子から転落死・溺死の危険性
10~6 吐気、嘔吐、行動の自由を失う、危険を感じても動けず叫べず、虚脱、チアノーゼ、幻覚、意識喪失、昏倒、中枢神経障害、チェーンストークス型の呼吸出現、全身けいれん、死の危機
6以下 数回のあえぎ呼吸で失神・昏倒、呼吸緩徐・停止、けいれん、心臓停止、死

以上のような酸素欠乏を防止するためには、作業現場の酸素濃度を調査することが不可欠です。そこで、今回は、新コスモ電機株式会社製 デジタル酸素濃度計「XO-326ALA」をご紹介します。

デジタル酸素濃度計「XO-326ALA」の外観と主な仕様は以下の通りです。

デジタル酸素濃度計

対象ガス 酸素
検知方式 隔膜ガルバニ電池方式
指示表示 LCDデジタル方式3桁
測定範囲 酸素濃度0~40%
指示精度 各表示濃度±0.3%
警報濃度 酸素濃度18%以下
警報精度 警報濃度の±1.0%以内
警報音 警報濃度以下で断続音
電池寿命警報は連続音
再現性 大気中の酸素濃度に対し±0.5%以内
応答速度 90%応答 20秒以内
使用温度範囲 0~±40℃
使用圧力範囲 2気圧以下
電源 R6P型(SUS-3) 単3乾電池×2

デジタル酸素濃度計「XO-326ALA」の操作手順は以下の通りです。

  1. まず、電池電圧を確認します。
    正面左上のPOWERスイッチをONにすると表示が出ます。この時、ブザー音がしないことを確認してください。ブザー音が連続で鳴る場合は、電池の寿命ですので、新しい電池(単3×2)と交換してください。
  2. 次に、酸素センサの寿命を確認します。
    清浄空気中で側面のSPANツマミを時計方向に回し、表示が23%以上になるか確認します。最大にしても23%未満の場合はセンサ寿命ですので、酸素センサを交換してください。
  3. 次に、スパンの調製をします。
    清浄空気中で表示が21.0%になるようにSPANツマミを回して調製してください。
  4. そして測定です。
    センサ部分を被測定場所につり下げたりし、表示が安定した後に酸素濃度を読み取ります。なお、「XO-326ALA」の酸素センサーのコード長は5mです。

デジタル酸素濃度計「XO-326ALA」に関するお問い合わせ等につきましては、お気軽に当センターにご相談ください。

以上

ご相談・ご要望を受け付けています。

ご利用時間:午前8時30分~午後5時15分(土・日曜日・祝祭日、年末年始除く)

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